ベンチャー企業は立ち上げ当初から資金不足にあり、外部からの資金を積極的に投入することが多い。その結果、多種多様な株主が混在し、時間が推移することによって意見の対立も生じ、整理の必要がでてくることもあるかと思います。
少数株主の整理のスキームは多くありますが、よくある論点2つを紹介したい。
1.スクイーズアウト (株式併合)
少数株主が端株になるように株式を併合し、端株については競売するか任意売却(会社が金銭を支払って取得)することです。
(注意点)
少数株主が株式の併合そのものに不満があるときは、株式の併合を議案とする総会決議そのものについて差し止め、無効確認などの訴訟が起こされることがあります。
(買主の視点)
現金買取による少数株主へのスクイーズアウトはH29税制改正後も適格株式交換に該当しないことから買取法人側は連結納税加入時に時価評価、欠損金の切り捨てが必要である。→時価評価益は法人税課税だが売却や除却のタイミングで回収可能である。
(但し、単元未満株式の買取の場合は、時価評価は不要)
(売主=個人の視点)
非上場株式の配当所得として総合課税
(みなし配当課税の対象外・改正会社法)
(時価の妥当性)
少数株主からの買取価格は税務上適正評価額で実施すれば実務で当局から指摘されることは少ない。(株価算定は必要)
(会計処理)
追加取得の資本連結時の差額について、その他資本剰余金(BS)とする
2.スクイーズアウト (特別支配株主の株式等売渡請求)
対象会社の特別支配株主が,対象会社の少数株主の有する株式の全部をその承諾を得ることなく,金銭その他の財産を対価として取得し,少数株主を閉め出すこと。
(注意点)
株式の買取価格につき折り合いがつかない場合には,当該価格は,最終的に裁判所が決定することとなります。そして,裁判所の決定する株式価格は,税務上の株式の評価とは異なり,特段の事情がない限り,継続企業であることを前提とした株式評価方法(DCF法等)を用いて算出されるのが主流であって,想定以上に高額化する傾向がある。
(買主の視点)
現金買取による少数株主へのスクイーズアウトはH29税制改正後も適格株式交換に該当しないことからCAMは連結納税加入時に時価評価、欠損金の切り捨てが必要である。→時価評価益は法人税課税だが売却や除却のタイミングで回収可能である。
(売主=個人の視点)
非上場株式の配当所得として総合課税
(みなし配当課税の対象外・改正会社法)
(会計処理)
追加取得の資本連結時の差額について、その他資本剰余金(BS)とする
この2つの手法は強硬派なので、できることならば、話し合いで解決するのが望ましいです。話し合いで売渡価格が決まれば、それが時価になるので税務上は問題ないですが、ここが一番難しいところでしょうか。