★ベンチャー経理財務の日々★

日々の経理財務を綴ります。

ベンチャーな日々

皆さん、初めまして。

ベンチャー企業の管理部門(経営企画、財務経理、総務)で管理者をしています。

 

今の会社に入り既に5年になりました。会社の社歴も10期目に突入し「え?ベンチャー企業?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、ベンチャー気質は昔から相変わらず、M&A(事業買収、会社買収)も多々ありますし飽きませんので、「ベンチャー」と言わせてください(笑)

 

当社もIPOを考えて時期もあるのですが、諸般の事情により今は実現性が薄いですが、その辺りの経験も深いので、昨今のIPOを志向するベンチャーCFO向けに、個人的な意見を発言できればと思います。

 

(注)税務・会計については個人的意見ですので、正確な見解は皆さんの顧問税理士、会計士に再確認してください。

 

 

<本日の課題>

■事業譲渡と株式譲渡の違い

特に買手の当社側には影響ないのですが、売手経営者には税制面で大きな違いがあります。「事業譲渡」の場合は所得税上、譲渡損益は総合課税されますので一般的に税率が高く現金手取りが減ります。「株式譲渡」の場合は株の譲渡のため、源泉税約20%(非上場株式の場合)を支払った残りが現金手取りになります。

 

売手としては現金手取りが多いほどうれしいので、事業を譲渡するときには「株式譲渡」の手法が取れないかと考えますね。

 

仮に、売手は会社から対象事業を分割して子会社を設立して、その子会社の株式を100%売却するスキームがあります。

 

ここで危険なのは税務の取り扱いです。

 

売手は対象事業を分割して子会社を設立する場合、対象事業の「簿価」を切り出すことがあります。「簿価」で切り出すと親子会社間で譲渡損益が計上されないです。もともと連結会計上、100%親子間の分割で「時価」を認識しなくてもよいからです。

 

税務上も親子間の分割なら「簿価」で処理すればよいのですが、切り出した子会社を買手にすぐ「時価」で売る場合は話が違います。切り出し時点で認識する価格は「時価」と認定されます。(税務では「簿価」と「時価」との差額を「資産調整勘定(税務のれん)」として計上し、5年間で税務認容(費用処理)されます)

 

仮に売手が対象事業を「簿価」で分割し、その子会社株式を「時価」で譲渡したら、買手の当社は「時価」で支払うだけですが、その代金(時価)を受け取った売手(個人)は株式の譲渡でないため源泉税を認識するのではなく譲渡損益を所得税の総合課税で税金を支払う必要があるので注意する必要がありますね。

 

税務には十分に注意する必要があります。。