★ベンチャー経理財務の日々★

日々の経理財務を綴ります。

会計資格を保有している方の一般企業での働き方、年収についての考察

最近は監査法人を退職して一般企業に就職する人が増えてきた。新卒で監査法人に就職するも、やはり自身で実務経験を積みたい要望を持ち希望をもってやってくる。

 

CPA公認会計士)も日本の監査法人を退職してくるJPCPAと一般企業で働きながら会計専門資格としてUSCPAを取得した人との2つのパターンがある。

 

前者のJPCPAは合格率10%台、勉強時間も3000時間と超難関資格で、大学生から勉強している方も多く、社会人から受験するのは厳しい印象だ。 それに比較してUSCPAは800-1500時間程度で科目合格制を導入しており、合格率も約50%とのことで、社会人でも十分に合格できる資格だと思う。また、昔は海外に行かないと受験できなったが、いまは日本国内でも受験可能だ。

 

今回は一般企業で働くCPAの働き方と年収を紹介したいと思う。


監査法人を退職して一般企業に転職するCPAは年齢的に30歳前後が多い印象で実務経験がないことが多い。とりあえず子会社数社の記帳業務から始めながら子会社CFOとして経営者と共同で事業運営に携わってもらう。そうして経験を積みながら連結決算実務や親会社の経営判断が必要となる経営企画ポジション等に就くことも可能だ。

 

一方、USCPAホルダーの働き方は、海外の監査法人で勤務し監査するイメージがあるかと思うが、昨今は日本の一般企業で働いている方も多い。

 

当社は日本企業なのだが、海外に子会社、孫会社、ファンドがあり多々あり、これらの在外子会社も連結決算に組み込む必要がある。

 

海外の決算書は現地特有の税金計算をすべく、現地の会計事務所に決算業務をお任せするのだが、国によっては独特な会計処理と税金計算を導入しており、単純に連結合算をする前に「どのような会計方針」で仕訳をしたのか確認し、必要ならば連結調整仕訳を切る必要もある。

 

そのような現地会計事務所とのコミュニケーションは、基本は英語であり、議論して背景を読み取る必要がある。その役割としてUS基準を熟知したUSCPAの存在は大きく、監査業務ではない業務として企業に貢献できるのは大きいと考える

 

【USAのBS資料】

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インドネシアの元帳】

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また希望すれば海外に数年ほど、海外CFOとしても赴任が可能であり、現地事業運営者と共同で事業運営に携わることも可能である。

 

JPCPAの方は一般企業での経験を経て、税理士資格をとって独立する人も多いのですが、USCPAホルダーは長らく企業内CPAとして活躍することが多いと思う。会社として長らく働き貢献いただく人材は有難い。

 

では年収例をみてみよう。


JPCPAが日本の監査法人に就職すると監査法人スタッフ(勤続1-5年)ならば約300-700万円、シニアスタッフ(勤続5-8年)に昇格すると約800-1000万円となるようだ。最近は働き方改革で残業代がスタッフにはつくも、シニアには付かないとも聞く。ある監査法人では22時になるとサーバのネットワークが強制遮断し、帰らざるを得ないが仕事が終わらないという冗談にもならない状態だそうだ。

 

シニアスタッフに昇格したあと、マネージャ(勤続8-10年)で1000-1200万円、シニアマネージャー(勤続10-15年)は1200-1600万円、パートナーでは1600万円-2000万円となるようだ。但し全員がマネージャになることはなく、一旦ここでふるいにかけられる。
参考:https://tenshokupicks.jp/companies/deloitte_audit/1768/

 

一方USCPAの年収はどうだろうか。
アメリカ企業で勤務すると初年度の平均給与500万円~であり、監査法人ならばマネージャクラスで勤続8-10年1000万円ほどだそうだ。当社の場合30歳で約800万円~となっている。

 

■総括
社会人が働きながらJPCPAを取得するのは極めてハードルが高く、USCPAならそれも可能だと思う。この専門資格を取得することで、英語力が一目置かれ、グローバル経営についても更に知見が広まると思う。海外現地スタッフとのコミュニケーションも楽しくなり、経理屋視点という狭い見方よりも経営者視点に移ることと思う。

 

我々は現場と違いマネタイズすることはできない。


但し、先を見据えた戦略とそれを実行する戦術案を提供することはできる。それに資するためには常に新しい知識を取り入れ、自身の血肉にしていかなければならない。

 

経理マン(ウーマン)は経理周りについては深い知識を勉強し、その周辺領域であるIT(今ならPython)、英語(TOEIC)、法律(ビジネス実務法務検定)は一通りマスターしないとプロではない。一生かけて勉強し、よいアウトプットをしていくべきだ