★ベンチャー経理財務の日々★

日々の経理財務を綴ります。

収益認識基準会計、本人代理人について

 

広告事業等については、契約内容を踏まえた本人・代理人の判定が契約タイプ別に必

要となります。

 

*広告代理店のところが、本人なのか、代理人なのか、を検討します。

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判定基準をみると。

本人と代理人の区分の判定は顧客に約束した特定の財又はサービスのそれぞれについて行う(指針第41項)。
具体的には、次の手順により判断を行う(指針第42項)
(1)顧客に提供する財又はサービスを識別する
(2)財又はサービスのそれぞれが顧客に提供される前に、当該財又はサービスを企業が

支配しているかどうかを判断する。

 

支配の意味 (1)判断基準

資産に対する支配とは、当該資産の使用を指図し、当該資産からの残りの便益のほとんどすべてを享受する能力(他の企業が資産の使用を指図して資産から便益を享受することを妨げる能力を含む。)をいう(会計基準第37項)。
資産からの便益とは、例えば資産の使用や売却、交換、保有といった方法により直接的または間接的に獲得できる潜在的キャッシュ・フロー(インフローまたはアウトフローの節約)をいう(指針第133項)。
また、支配しているかどうかを判定するには下記①~③の指標を考慮する(ただし指標は絶対的ではない。基準第136項に留意)。

(2)判断基準

①企業が当該財又はサービスを提供するという約束の履行に対して主たる責任を有しているかどうか。
②当該財又はサービスが顧客に提供される前、あるいは当該財又はサービスに対する支配が顧客に移転した後において、企業が在庫リスクを有しているかどうか。
③当該財又はサービスの価格の設定において企業が裁量権を有しているかどうか
→基準では、但書として「代理人が価格の設定における裁量権を有している場合もある。例えば、代理店は財又はサービスが他の当事者によって提供されるように手配するサービスから追加的な収益を生み出すために、価格の設定について一定の裁量権を有している場合がある。」と記載されていることに留意。  

 

この状況を鑑み、エンタメ事業でのEC取引を検討してみると、

お金の流れ:ユーザ100円 → 当社100円 →  権利を有する協業社98円

物の流れ: メーカー → 当社が委託する外部倉庫 → ユーザ

 単純にお金だけ見ると消化仕入か?とも疑いかねない。

 

 物の流れから本人・代理人を検討すると、

①販売サイトは当社であり、規約でクレームは当社が対応するので、を提供するという約束の履行に対して主たる責任がある。

②当社が委託する外部倉庫からユーザに配送されるので、当社が在庫リスクを有している

③ここは難しい。なぜなら「権利を有する協業社98円」に代理店手数料2円を乗せて価格を算定してるともとれる。これを避けるために当社は。この手数料部分を商材調達の難易度にともない、2-10円と決定できる裁量権があることを証明しなければならない

これが証明できてはじめて価格の設定において企業が裁量権を有しているといえる。

 

広告代理店ならどうだろうか?

①総額になる例

顧客からの申込みに基づいて媒体から広告枠を仕入れており、広告枠だけを先に仕入れることはしていない。例えば、媒体社との契約で「顧客の広告掲載のために本サービスを利用する」と規定されており、顧客(及びその希望する商品)を特定したうえで媒体社から広告枠を仕入れることになる。

小売業の消化仕入契約(設例28)に近いかも。

②純額になる例。

①のように個々に広告枠を仕入れるケースは、ある媒体から特定のメディアに関する広告枠を包括的に仕入れ、当社が代理店としてがその枠内で複数顧客の広告をさばくと考えると、
・包括的な枠に係る在庫リスクを負っている。
・媒体者が枠を当社ことを妨げることができる。
と定義すると資産に対する支配があるという整理もできる。

 

 

約束の履行に対して主たる責任を有しているかという視点でみると、

①総額になる例

当社は媒体、顧客とそれぞれ契約を締結しており、顧客/媒体間で契約が締結していない。そのため、当社は顧客から申し込まれた商品・掲載期間等の条件に従い、広告を掲載する義務を顧客との間で負っている。

②純額になる例。

広告枠を提供するのは媒体であり、広告配信というサービスの履行に欠かせない存在である。媒体側で何らかのトラブルが発生し、配信ができなかった場合に、当社は責任を負わないことが明示されている。

という形で分類できる。基本的には①総額になるように、実態にあわせて契約をいまから見直し変更しておくことで進めていきたい。