★ベンチャー経理財務の日々★

日々の経理財務を綴ります。

決算早期化(経費精算の自動仕訳)

決算早期化の手法は数々あれど、目先で効果があるは経費精算の自動化ではないだろうか。また、2022年1月よりの電子帳簿保存法の改正で「紙」の領収書が不要になった影響もあり経費精算システムの導入も後押ししている。(ただ不正防止対策まで対策が取られたものが少ない。国税局の税務調査で役員、幹部社員の経費は一応のチェックがあるため、こちらは別途考える必要があるかと思います)

 

各社経費精算のシステムは導入済だと思うので、そこから先の自動化の取りくみについて解説したい。

 

1.経費精算システム

TVCMで最近よく宣伝させていてる製品があるが各社各様であるかと思う。

①楽々精算  

www.rakurakuseisan.jp

この連携は各社のフォーマットにあわせたCSVを出力して、取り込む感じです。

自動仕訳・会計ソフト連携/仕訳や会計ソフトへの入力作業がゼロに|「楽楽精算」

 

気になるのは、会社で設定している「部門」「補助」等の設定まで網羅できているか、という感じですか。特殊設定は別途費用はかかるかも、ですね。

 

2.ジョブカン経費精算

ex.jobcan.ne.jp

こちらはコストが安いもサーバが不安定で使い勝手が良くないかもしれない。

経理システムとの連携はできるとみたいだが、WEB紹介ページをみただけでは不明瞭。

 

3.Concur Expense

www.concur.co.jp

こちらは外資系だからか設定は超難解。

ただ、設定だけしまうと痒いとこに手が届く仕様であり、コーポレートカード(VISA)とは自動連係しているので、カード利用明細がコンカー明細に自動反映するので、便利である。やはり大企業向けですね。

 

各社のよし悪しと、会社の方向性とのマッチをかんがえて

また、経費精算をするのは現場担当者だと思うので、スマホで完結するユーザビリティもようよく考慮して導入の意思決定をしたほうがよいですね。

 

*導入コンサルも請け負っています。

 

 

混合配当

決算が終わり総会の季節になる。

 

毎度、子会社から親会社に配当という形で資金を吸い上げるのだが、会社により配当可能利益(通常は利益剰余金)が少なく、それでもキャッシュがあり、資本剰余金から配当ということも検討しなければならない。

 

(もちろん、資本からの配当は特別決議が必要)

 

ここで利益剰余金からと、資本剰余金からの配当が混在するのが「混合配当」と言われるが、そこから差し引く源泉税が少し複雑で、利益剰余金は単純に源泉税20.42%(非上場)を差し引き支払うのだが、資本剰余金は「資本の払い戻し」なので、

 

配当額−(税務上の)資本払い戻し額=

これを「みなし配当」という、

から源泉税20.42%(非上場)を差し引き、支払うことになるのだが、

 

最高裁の判決で、

資本剰余金の計算元になる配当額は、利益剰余金のものと同額みたいで、従前は

 

配当額100円=利益剰余金70円+資本剰余金30円

 

ならば資本剰余金30円を基に「みなし配当」を計算してたが、そうではなく100円を基に計算しなければないないらしい。

(過去の間違いは5年に遡り更生)

 

令和3年判決

国税庁のHP

https://www.nta.go.jp/ information/other/data/r03/ saikosai/index.htm

 

気をつけていかないと。

 

 

 

子会社同士の合併

100%子会社同士の合併がよくある

(というより少数株主がいないので調整事項がなく、やりやすい)

 

法務的にはどちらかを存続法人とする吸収合併になる。

 

他の論点として

会計:共通支配下の取引、適格合併(簿価引き継ぎ)
税務:100%グループ内再編、適格合併(簿価引き継ぎ)
法務:簡易合併。1か月催告。
労務包括承継なので労働契約を引き継ぐ。

 

当社はネット系企業なので、消滅法人のネットサービスの閉鎖等、ユーザに告知してポイント返還などの実務が伴うので、法的にはひと月でもユーザビリティを考えると数か月の猶予期間があたほうがよいとの判断もあり、経営目線とは乖離するので、難しいかとよく考える。

少数株主の排除(スクイーズアウト)

ベンチャー企業は立ち上げ当初から資金不足にあり、外部からの資金を積極的に投入することが多い。その結果、多種多様な株主が混在し、時間が推移することによって意見の対立も生じ、整理の必要がでてくることもあるかと思います。

 

少数株主の整理のスキームは多くありますが、よくある論点2つを紹介したい。

 

 

1.スクイーズアウト (株式併合)

少数株主が端株になるように株式を併合し、端株については競売するか任意売却(会社が金銭を支払って取得)することです。

 

(注意点)

少数株主が株式の併合そのものに不満があるときは、株式の併合を議案とする総会決議そのものについて差し止め、無効確認などの訴訟が起こされることがあります。

 

(買主の視点)

現金買取による少数株主へのスクイーズアウトはH29税制改正後も適格株式交換に該当しないことから買取法人側は連結納税加入時に時価評価、欠損金の切り捨てが必要である。→時価評価益は法人税課税だが売却や除却のタイミングで回収可能である。

(但し、単元未満株式の買取の場合は、時価評価は不要)

 

(売主=個人の視点)

非上場株式の配当所得として総合課税

  (みなし配当課税の対象外・改正会社法

 

時価の妥当性)

少数株主からの買取価格は税務上適正評価額で実施すれば実務で当局から指摘されることは少ない。(株価算定は必要)

 

(会計処理)

追加取得の資本連結時の差額について、その他資本剰余金(BS)とする

 

 

2.スクイーズアウト (特別支配株主の株式等売渡請求)

対象会社の特別支配株主が,対象会社の少数株主の有する株式の全部をその承諾を得ることなく,金銭その他の財産を対価として取得し,少数株主を閉め出すこと。

 

(注意点)

株式の買取価格につき折り合いがつかない場合には,当該価格は,最終的に裁判所が決定することとなります。そして,裁判所の決定する株式価格は,税務上の株式の評価とは異なり,特段の事情がない限り,継続企業であることを前提とした株式評価方法(DCF法等)を用いて算出されるのが主流であって,想定以上に高額化する傾向がある。

 

(買主の視点)

現金買取による少数株主へのスクイーズアウトはH29税制改正後も適格株式交換に該当しないことからCAMは連結納税加入時に時価評価、欠損金の切り捨てが必要である。→時価評価益は法人税課税だが売却や除却のタイミングで回収可能である。

 

(売主=個人の視点)

非上場株式の配当所得として総合課税

  (みなし配当課税の対象外・改正会社法

 

(会計処理)

追加取得の資本連結時の差額について、その他資本剰余金(BS)とする

 

この2つの手法は強硬派なので、できることならば、話し合いで解決するのが望ましいです。話し合いで売渡価格が決まれば、それが時価になるので税務上は問題ないですが、ここが一番難しいところでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

入金督促の要諦

皆さんは得意先への入金督促をした事があるだろうか。

 

この時期、コロナ禍でどこも資金繰りが厳しく、中には売掛を延長してほしい、とか

分割入金して欲しいとかの要望を受けることもあるだろう。

 

若手の経理の方は、記帳や申告事務が中心であり、交渉事には慣れていないかと思う。

 

ただ、現場が獲得した収益を現金回収するまてがビジネスであり、経理マンもそれを支援すべきだと思う。

 

片や、義理人情ではビジネスは解決できないので最終的には差押等の法的手続は準備しながら、相手先には丁寧にな対話を継続すれば、分割でも無事回収出来ることが多い。

 

要諦は相手の立場に立ち、こちらの社内調整とバランスを見ながら、丁寧に対話することだと思う。

 

■本日に某プロジェクトが終わったのを受けて。

■40歳代の転職について

皆さんは転職をしたことがあるだろうか?

コロナ禍の中でも人材募集会社の広告をよく見るので世の中そんなに不景気でもないような気がする。筆者の働くインターネット企業でも営業部門、管理部門で採用活動をしており、募集者の面接もよく実施している。

 

転職者の平均年齢は募集部門にもよるが、エンジニアでは20歳代から、営業部門は20歳後半~30歳代。管理部門は専門能力が必要なため30歳後半~という印象だ。

 

■では40歳代の転職どうだろうか。

 

40歳代になると突出した過去実績があり、それを転職先でも活かせるか、

今迄の人脈を活かして、これからの期待値が評価され、高待遇(年収、ポジション)で採用されることが多い。

 

では、そのような経験、人脈がなければ40歳代では転職できないのだろうか。

40歳代でも各企業の採用ニーズにマッチすれば転職も可能だ。特に若手にアドバイスができ、育成できることが期待できるなら好待遇で採用される。

 

筆者も35歳で運送業からネット企業の管理部門に転職し、43歳で別の会社の管理部門へ転職し10年以上も部下の育成と企業成長へ貢献を目標として働いている。

 

■40歳代の転職は注意しなければならない。

 

40歳代に転職しようと考える人は、潜在的な能力が高く上昇志向が強い印象だ。そのような人材は、採用側企業でも欲しい人材ではあるが、希望年収が総じて高額だ。

高額なコストを支払って採用するので採用する側も失敗は許されない。面接を通じて重視するのは採用後の働き方、つまり社風とマッチするかという視点である。

転職者としては年齢的に次の転職は余程のことがない位ないと考えて、その会社に骨を埋める気持ちで転職しないと失敗する。

 

■転職の失敗例

部下のA君は当社に転職してきて5年になり、ことし40歳を迎えた。彼には家族がいて住宅ローンも残っている。いまの仕事は事務職で毎日のルーチンワークが中心で、年2回の昇給率は軽微だ。彼は自身の業務の効率化のためシステム構築などで会社貢献していた。

 

彼の転職のキッカケは、昇給額が毎年わずかで、将来の家族のことを思うと、転職で年収を上げていきたいということだった。幸運にも転職サイトを覗いていたら人材コンサルタントからオファーがきて、転職先の管理職に接触し雑談と称する「面接」を重ねて、最終面接後に筆者に転職希望の打診をしてきたのだった。

 

彼の残念だったことは、転職の第一目標が「お金」であり、「働きがい」が目標ではなかったことだ。このような人間は次の職場でも「お金」を求めて翻弄する。結果として「お金」も「働きがい=成果」を得られないまま現職に縛られたままである。(後日談だが転職先企業の提示額は現職と変わらずだった。転職先企業は目先のお金より、長らく働いて成果を出すことを求めた。彼の能力なら将来大きく年収もあがっていったと推測できる)

 

■まとめ

確かに転職すると年収は一般的に増加する。ただし、「お金」を第一目標にすると転職結果は悲惨なものになることが多い。転職の意味は今より大きな職場で、自分の能力を更に発揮して、日本経済発展に貢献することであることを忘れてはいけない。

 

40歳代の転職におけるコツ、具体的な転職事例などは、以下のサイトで数多く紹介されているので、具体的な行動を検討する方はぜひ参考にしてほしい

セカンドゴング|40代の転職を応援するメディア

会計資格を保有している方の一般企業での働き方、年収についての考察

最近は監査法人を退職して一般企業に就職する人が増えてきた。新卒で監査法人に就職するも、やはり自身で実務経験を積みたい要望を持ち希望をもってやってくる。

 

CPA公認会計士)も日本の監査法人を退職してくるJPCPAと一般企業で働きながら会計専門資格としてUSCPAを取得した人との2つのパターンがある。

 

前者のJPCPAは合格率10%台、勉強時間も3000時間と超難関資格で、大学生から勉強している方も多く、社会人から受験するのは厳しい印象だ。 それに比較してUSCPAは800-1500時間程度で科目合格制を導入しており、合格率も約50%とのことで、社会人でも十分に合格できる資格だと思う。また、昔は海外に行かないと受験できなったが、いまは日本国内でも受験可能だ。

 

今回は一般企業で働くCPAの働き方と年収を紹介したいと思う。


監査法人を退職して一般企業に転職するCPAは年齢的に30歳前後が多い印象で実務経験がないことが多い。とりあえず子会社数社の記帳業務から始めながら子会社CFOとして経営者と共同で事業運営に携わってもらう。そうして経験を積みながら連結決算実務や親会社の経営判断が必要となる経営企画ポジション等に就くことも可能だ。

 

一方、USCPAホルダーの働き方は、海外の監査法人で勤務し監査するイメージがあるかと思うが、昨今は日本の一般企業で働いている方も多い。

 

当社は日本企業なのだが、海外に子会社、孫会社、ファンドがあり多々あり、これらの在外子会社も連結決算に組み込む必要がある。

 

海外の決算書は現地特有の税金計算をすべく、現地の会計事務所に決算業務をお任せするのだが、国によっては独特な会計処理と税金計算を導入しており、単純に連結合算をする前に「どのような会計方針」で仕訳をしたのか確認し、必要ならば連結調整仕訳を切る必要もある。

 

そのような現地会計事務所とのコミュニケーションは、基本は英語であり、議論して背景を読み取る必要がある。その役割としてUS基準を熟知したUSCPAの存在は大きく、監査業務ではない業務として企業に貢献できるのは大きいと考える

 

【USAのBS資料】

f:id:jkawakam2002:20210914214658p:plain

インドネシアの元帳】

f:id:jkawakam2002:20210914214740p:plain

また希望すれば海外に数年ほど、海外CFOとしても赴任が可能であり、現地事業運営者と共同で事業運営に携わることも可能である。

 

JPCPAの方は一般企業での経験を経て、税理士資格をとって独立する人も多いのですが、USCPAホルダーは長らく企業内CPAとして活躍することが多いと思う。会社として長らく働き貢献いただく人材は有難い。

 

では年収例をみてみよう。


JPCPAが日本の監査法人に就職すると監査法人スタッフ(勤続1-5年)ならば約300-700万円、シニアスタッフ(勤続5-8年)に昇格すると約800-1000万円となるようだ。最近は働き方改革で残業代がスタッフにはつくも、シニアには付かないとも聞く。ある監査法人では22時になるとサーバのネットワークが強制遮断し、帰らざるを得ないが仕事が終わらないという冗談にもならない状態だそうだ。

 

シニアスタッフに昇格したあと、マネージャ(勤続8-10年)で1000-1200万円、シニアマネージャー(勤続10-15年)は1200-1600万円、パートナーでは1600万円-2000万円となるようだ。但し全員がマネージャになることはなく、一旦ここでふるいにかけられる。
参考:https://tenshokupicks.jp/companies/deloitte_audit/1768/

 

一方USCPAの年収はどうだろうか。
アメリカ企業で勤務すると初年度の平均給与500万円~であり、監査法人ならばマネージャクラスで勤続8-10年1000万円ほどだそうだ。当社の場合30歳で約800万円~となっている。

 

■総括
社会人が働きながらJPCPAを取得するのは極めてハードルが高く、USCPAならそれも可能だと思う。この専門資格を取得することで、英語力が一目置かれ、グローバル経営についても更に知見が広まると思う。海外現地スタッフとのコミュニケーションも楽しくなり、経理屋視点という狭い見方よりも経営者視点に移ることと思う。

 

我々は現場と違いマネタイズすることはできない。


但し、先を見据えた戦略とそれを実行する戦術案を提供することはできる。それに資するためには常に新しい知識を取り入れ、自身の血肉にしていかなければならない。

 

経理マン(ウーマン)は経理周りについては深い知識を勉強し、その周辺領域であるIT(今ならPython)、英語(TOEIC)、法律(ビジネス実務法務検定)は一通りマスターしないとプロではない。一生かけて勉強し、よいアウトプットをしていくべきだ